到達度評価に向けての対応

まずは「中間まとめ」を読もう。

      そして評価がよりはっきりする

ものさしを作ろう。

 

 

 

1 中間まとめを読む。

国立教育政策研究所が絶対評価のための「評価規準とその具体例」について中間のまとめを出している。

http://www.nier.go.jp/kaihatsu/index.htm

 それによると,例えば社会科の「世界の中の日本の役割」の評価規準の具体例の一つに次のものがある。

 

我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子が分かっている。

 

 これは「社会的事象についての知識・理解」の一部である。

 この文をまず検討してみる。 

「つながりの深い国」というのは,アメリカ合衆国や中国,韓国などであろう。日本はエネルギーを中東に依存

しているのでサウジアラビアやクウェートといった国々にも思いをはせなければならないだろうか。

「・・・国の人々の生活の様子・・・」例えばアメリカ合衆国の人々は,どういうものを食べているか。どうい

うものを着ているか。住まいはどういうものか。などについてイメージがもてればいいかなと思う。

 それで問題になるのは,

「・・・分かっている。」である。

 具体的に数量で示せるものでないといけない。

 何をどの程度理解しているのか。

 そこをはっきりさせていくことが,評価基準を作ることになる。

       アメリカ合衆国にある都市の名前を3つ書きなさい。

       アメリカ合衆国から日本に伝わったものを3つ書きなさい。

 ・ 野球 フライドチキン ハンバーガー ジーンズ など

       日本の輸入品のなかでアメリカ合衆国が第1位となる輸入品を3つ書きなさい。

       肉類 小麦 航空機 など

 このような具体的なものさしが必要になる。

 でも「我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国」とはアメリカ合衆国のことだけではない。韓国,中国

ひいてはサウジアラビアなどについても同様な物差しが必要になる。

       韓国の都市を3つ書きなさい。

       韓国語を3つ書きなさい。

       中国の都市を3つ,サウジアラビアの言語,などなど・・・・

 さらにはそれらの質問事項をいきなり児童にぶつけても児童は答えられない。当然のことながら、授業で扱って

おかなければならない。授業で扱っていないことは問えない。

 

2 「資料活用の技能」の評価基準

 観察・資料活用の技能・表現の評価規準の具体例は以下である。

 

我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子を,調査したり,地図や地球儀,各種の基礎的

資料を活用したりして具体的に調べている。

 

「・・・各種の基礎的資料を活用・・・」

とある。

だから「資料活用の技能」として資料集や教科書を読み取る力をテストすればよい。参考になる文献は「向山洋一年齢

別実践記録集第16巻」のP.32からP.35である。

○ 「アメリカ合衆国の人々の食生活を調べるためには資料集の何ページの何番の資料を見ればいいですか。」

○ 「日本人が食べる海老がどこで作られているものかを調べるには,資料集の何ページの何番の資料を見ればいいですか。」

のような問いである。

これなら基準としての客観性が保てる。でも,これらも授業でしっかり扱ってからテストしなくてはならない。(それにし

ても向山氏は,20年以上前からこういう研究をされていたことに改めて驚く。今でも,これからでも通用する教育を20年以上前

からやられていたことに・・・。凄いと言うほかない。)

 

3 「社会的な思考・判断」の評価基準

 「世界の中の日本の役割」の「社会的な思考・判断」の評価規準の最後には以下の文がある。

 

調べたことをもとに,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考え,適切に判断

している。

 

○「世界平和の実現に向けて日本ができることには何がありますか。」

       憲法第九条の考え方を世界にアピールする。

       広島,長崎の原爆の悲惨さを世界の人々に伝えていくようにしていく。

○「世界の中で重要な役割を果たしている事柄として何がありますか。

       国際連合の分担金を全体の20パーセント近く負担している。その額はアメリカ合衆国と肩を並べるくらいのものである。

       国際平和活動を推進していて海外の平和活動に参加している。

       日本の電気製品をはじめ各種の機械製品やアニメや寿司などの文化が世界の人々の間で定着してきていること。・・・・

 これらのことは「判断」になるか?

 ならない。

 これらは「知識」の属することである。

 「判断」を問うならプラスマイナスの両者があってそのどちらをあなたは是とするか,というような問いでなければならない。

 例えばこんなふうに。

       「アフガニスタン復興のために多額の費用が必要です。日本はかなりの額   

を拠出するよう期待されています。でも我が国の財政は厳しいです。どうしたらよいとあなたは考えますか。

 当然これについての授業をやっておかなければならない。

 

4 どう測定するか

 評価基準ができた。その授業もやった。

 ではどうやって測定するか。  

「知識・理解」の場合,3つずつのマスがプリントされている紙を作り,それに書かせる。この場合は問題を教師が読み上げてもいい。

「アメリカ合衆国にある都市の名前を3つ書きなさい。」

 1問について30秒から1分くらいさく。

 2問目,3問目も同様に書かせていく。

 時間がたったら,隣同士交換させて答えを教師が告げてチェックさせる。

 答案を本人に返させて

「1問目できた人。」

と聞いて記録する。

「資料活用の技能」も同様にやっていける。

「判断」はある程度,時間をかける。あとで紙を回収して記述をみて判断として妥当なら「判断A」となる。「妥当」をどこで

区切るかが問題になるだろう。いくつかの考えを踏まえて,その中で,より可能性の高いものとして考えられていれば良いと思われる。

このあたりはさらに吟味が必要だと思う。

 

5 参考になった文献

「授業研究21 200112月号」(明治図書)〜「絶対評価」の到達規準をどう創るか

「向山洋一年齢別実践記録集第16巻」(東京教育技術研究所)

「長崎向山塾」200110 (向山洋一教育実践原理研究会長崎支部)